目白から池袋、そして谷中へ。

フランク・ロイド・ライトの明日館。

自由学園
旧帝国ホテルなどの設計で知られる、日本にとって洋風建築の開祖的な存在の建築家。ライトの建築物は今でも見ることができるが、意外にも身近なところで見ることができる。目白と池袋の間にある自由学園の明日館(みょうにちかん)だ。大正時代に自由学園を創設した羽仁もと子夫妻が当時ライトの助手をしていた遠藤新(あらた)にライトを紹介されて建てたのがこの明日館。典型的なシンメトリー低層のツーバイフォー工法は、広い庭と一体化した空間を上手に生み出している。
入場料400円に200円をプラスすれば、象徴的幾何学形状の窓のあるホールで飲み物とお菓子をいいただくことだできる。ちょっと小さめの六角椅子に腰を下ろし、降り注ぐ太陽の光の中にいると、都心とは思えない静かなひと時を過ごすことができる。
実は10年ほど前、この施設を借りきってセミナーを開催したことがある。今でも施設の利用は可能で、撮影などにも積極的に貸し出している。国指定の重要文化財でありながら、利用しながら保存する「動態保存」というスタイルをとっている。
庭を挟んで南側には大きな講堂があり、ここをチャペルに見立てたウエディングなども行っている。懐石風のフレンチをいただきながら。フランス料理のスクールを運営しているコルドンブルーがウェディング運営を行っているので、きちんとした食事を楽しむことができるのでちょっと素敵なウェディングになるだろう。

 

立教大学の池袋西口。

学食
明日館を後に、池袋西口方面へと歩を進める。実は、大学に入学して最初に住んだのが池袋東口。まだ東京を知らない若者が住むところではなかったような気もするが、おじさんが池袋駅東口にある公団に暮らしていたので、その近くにアパートを借りた。当時はまだサンシャイン60のビルもなく、池袋駅東口は雑多な街だった。反対の西口は立教大学がある文京の町というイメージ。特に六大学の中でも立教大学はミッション系の大学で上品な印象があった。早稲田に通っていた私は立教大学はぼっちゃん大学というイメージがあったせいか、農家出身の身としてはキャンパスに入ったことはなかった。ずいぶん後のことになるが、仕事で出会った直木賞作家のなかにし礼さんが立教大学の出身で、貧乏学生の時代、シャンソンの訳詞のアルバイトをして何とか生きてきたいという話しをよく聞いた。
この日の東京散策のホスト役の写真家、小川さんは池袋西口に実家があり、子供の頃はこのあたりでよく遊び、立教のキャンパスが学校への抜け道でもあったという。今では高層ビルのような校舎が建ち、蔦の絡まる赤レンガの面影も残しつつ、新しくなったキャンパスの中へ。第一食堂という学食がある。ここに立ち寄って、ちょっと遅目のランチ。学食だけあってワンコインでボリュームたっぷりのランチをいただくことだできる。それにしても最近の学生たちは育ちも良さそうだし、おしゃれだし、可愛い。それも立教だからかもしれないが、しばし学生ウォッチング。天井の高いチャペルのような学食は、ミッションスクールらしい厳かな雰囲気がある。かつての早稲田の大隈庭園近くにあった学食とはまったく異なる世界だ。

 

鬼子母神と日本一古い駄菓子屋さん。

鬼子母神駄菓子屋
立教大学のキャンパスを後にして、明治通りを渡り鬼子母神まで歩く。正しくは「きしもじん」と呼ぶらしいが、その歴史は室町時代までさかのぼる。今では安産と子育ての神様として人気だが、そもそもはその字のように「子供を食べてしまう鬼をお釈迦様が戒めた」というのが始まりらしい。そう言えば上野入谷にある鬼子母神にも同じことが書いてあった記憶がある。この参道には、何と1781年創業の上川口屋という駄菓子屋さんがある。1781年といえば、江戸時代。天明元年ということらしい。およそ235年前。現在お店に立つおばあちゃんは13代目だそうだ。ふ菓子や酢イカ、ラムネなどバラ売りなので10円単位で買うことができる懐かしい駄菓子屋さん。おそらく日本一古い駄菓子屋さんだろう。おばちゃんに、近所の子供達は来るの?と聞くと、今の子供達はコンビニの方が好きみたいだね。あっちの方が安いよとか、生意気なことを言うらしい。果たしていつまで続くのか、またこの店に来ることがあるのかどうか分からないが、麦チョコとふ菓子、イカなどを買い求めてお店を後にした。

 

都電荒川線のぶらり旅。
鬼子母神のすぐそばに都電荒川線の雑司が谷駅がある。学生の頃、東池袋にある向原という駅から早稲田まで時々乗って以来、久しぶりに乗ってみた。それが意外や意外、平日の午後にもかかわらず、満員。大塚あたりで空くかなと思っていたが、どんどん混んできて、台東区、荒川区と進んで行っても地元のお年寄りの方や買い物に出かける主婦の方、スーツ姿のビジネスマンなど、この路線の需要の高さを改めて認識した。
特に目的のない我々の旅は、町屋で降りて地下鉄千代田線に乗り換え、千駄木まで。千駄木から谷中まで歩き、商店街を冷やかしたり、夕焼けだんだんで猫と戯れてみたり。お茶の専門店でしばし休息し、珈琲焙煎の専門店で手土産を買い、千代田線に乗って表参道まで。昼から出かけて夕方まで都内半周。古くて懐かしい、東京散歩だった。

 

2014年3月
Cover Photo :Yoshifumi Ogawa
Gallery Photo & Text :Hideo Miyazaki

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