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Tokyo Daysの東京散歩・秋編。

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photo:Y. Ogawa

2015年11月21日、土曜日の昼下がり、西武新宿線「上井草」駅南口にあるガンダム像前に集合。前回、猛暑の「東京散歩・夏編」から一転、秋の「東京散歩」は暑くも寒くもなく絶好の散歩日和だった。

photo:H.Miyata

photo:H.Miyata

まずは西武新宿線「上井草」駅から南へ。
「上井草」駅から南へ10分ほど歩くと、住宅街に厩舎が現れた。中にはなんと、黒鹿毛の立派なお馬さんがいるではないか!残念ながらお尻しか見えなかったが、東京23区内と言えども、杉並区内にはまだこんな風景が残されているのはちょっと驚く。
さらに西荻方面に歩を進め、環八を超えて今日の目的地のひとつ「桃井原っぱ公園」を目指す。この公園は、元日産荻窪工場跡地で、TokyoDaysのメンバーの一人、吉川さんが日産自動車に入社された頃、ここの工場に勤務していたという思い出深い場所。残念ながらこの日の散歩に吉川さんは参加できなかったが、代わりに我々が懐かしい風景をしっかりとカメラに収めた。
日産荻窪工場は1998年に群馬県富岡市に移転したのに伴い、工場跡地を売却。杉並区は防災公園としての機能を併せ持った市街地開発をURに委託。その後桃井原っぱ広場として多くの区民に親しまれているようだ。
日産自動車荻窪工場ができたのは1966年(昭和41年)で、その前は中島飛行機の工場として使用されていた。中島飛行機は世界でも有数の飛行機メーカーであったが、敗戦とともに解散となり、解体された会社の中でも富士重工業(現在のスバル自動車)などが生き残っている。零式戦闘機、いわゆるゼロ戦の多くも中島飛行機で製造され、太平洋で散っていった。そんな歴史のある公園に立ってみると、軍需産業から自動車産業、そして公園と変遷する日本の姿がダブって見えた。

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photo:Y.Ogawa

photo:H.Miyata

photo:H.Miyata

西荻窪の松庵文庫でひと休み。
桃井原っぱ公園から南下、閑静な住宅街を抜けてJR中央線の「西荻窪」駅を目指す。西荻は荻窪と吉祥寺の間に挟まれたちょっとローカルな駅だが、古くからの商店や南北に伸びる商店街にはアンティークのお店や古書店が多いので、地元の人には充分愛されている、そんな空気が漂っている。阿佐ヶ谷や高円寺のような賑やかさはなく、かと言って寂しいこともなく、商店街も元気な様子が感じられる。
そんな西荻の駅から南へ歩いた松庵という地区に古民家を改装したカフェ「松庵文庫」がある。以前は音楽家ご夫妻の方が暮らしていたこの大きな家だが、ご主人が亡くなり手放すことになった際、すぐ近くに長年暮らしていた現在の店主、岡崎さんが家を引き継ぎ、松庵文庫として開店されたのが2013年の夏だったという。
岡崎さんの言葉から、『「まなびの場」という意味を込めて名付けた「文庫」という名前。「本」が智慧の宝庫であるように、私たちは「人」もまた智慧の宝庫だと思っています。「人」が集い「智慧」が積み重なっていく「文庫」というイメージです。それが子どもたちの時代の豊かさにつながれば、という思いもあります。』そんな素敵なカフェで休憩をした後、次の目的地、善福寺公園へと向かった。

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photo:Y.Ogawa

武蔵野の原風景が残される貴重な公園。
善福寺公園には大きな池があり、古来より武蔵野台地からの湧水池として知られていた。池の水は、かつては神田上水の補助水源として利用されたほど澄んでおり、湧水量も多く、武蔵野三大湧水池のひとつとして知られているほど。まだ農村だった江戸時代には、この池の水は貴重な水源であった。善福寺の名の由来は、池のほとりにあった寺の名前に由来しているが、現在残っている近くの「善福寺」という寺は別の寺で池の名前の由来にはなっていない。
この日は紅葉も終わりかけ、ちょっと寂しい夕暮れ時だったが、武蔵野の雑木林を思わせる落葉樹が生い茂り、野鳥や水中動物も豊富で、都内でも数少ない自然豊かな公園である。池にはカモ、カイツブリ、バンなどの水鳥やカワセミも来るらしく、三脚を立ててじっとカワセミの飛来を待つ辛抱強いカメラマンも数名見かけた。

photo:Y.Ogawa

photo:Y.Ogawa

photo;Y.Ogawa

photo;Y.Ogawa

ゴールは吉祥寺。
そして、半日、およそ7kmの距離を16,000歩ほど歩いたゴールは吉祥寺。
西武池袋線から中央線へ南下して、ひと駅歩いた後は焼肉にビールで乾杯。今回のガイド役である宮田さんお勧めの焼肉屋さんでお疲れさま!でした。


東京には知っているようで知らない街がたくさんあります。西荻窪を中心にした杉並区や練馬区は住宅街なので、ほとんど足を踏み入れることのないエリア。クルマで走るのも環状線や街道などの主要道路だけなので、今回のような路地を巡る旅には思いもよらない発見に満ちています。
みなさんも、そんな東京散歩にぜひお出かけくださいな。
文責:笹川寿一、宮崎秀雄

 

「今回の東京散歩のコース」

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