中尾 博さん。ISUZU PLAZAの企画・展示デザイン担当。
2017年春に新しくオープンしたいすゞ自動車のミュージアム。企画段階から携わり、展示に関わる全てのデザインを監修。大人だけでなく、子どもたちも楽しめるミュージアムを目指した。
いすゞの社名由来。
藤沢市に新しくできたいすゞの企業ミュージアム、いすゞプラザへ先日行って来た。
いすゞと言えば、ヨハン・シュトラウスの「美しき青きドナウ」のワルツのリズムに乗って、パリの街中を2台のジェミニが踊るように走り回る衝撃的なCMを思い出す。キャッチコピーはたしか「街の遊撃手」。
そんなイメージの強かったいすゞという自動車メーカーの社名の由来が、伊勢神宮の五十鈴川だと、ここISUZU PLAZAの展示を見て初めて知って、改めて驚き。
しかも日本で最初に誕生した自動車メーカーだというのも、初耳。
いや〜、知らないことを知るのは面白いなと、楽しいひと時だった。
デザイン一筋の中尾さん。
中尾さんは1988年にいすゞ自動車に入社、デザインセンターで、乗用車、商用車のデザインやモーターショー関連、ブランドデザイン関連など、いすゞのデザインの仕事に長年携わってきた。いすゞプラザ開設にあたって、初期の企画から、デザイン・ディレクションを担当し、4月から、いすゞプラザの企画・デザイン担当に就任していて、いすゞプラザのことならなんでもご存知の方。しかもデザイン部門が長かったこともあり、デザイナー目線で我々になるほどと思わせる解説をしてくれるので、この日の訪問はとても貴重な時間となった。
いすゞプラザのアイデアはこうして生まれた。
いすゞプラザの構想は、いすゞとしても中尾さんとしても前例のない事業計画で、商用車でもクルマだけでなくその社会的役割をいかに伝えていくかが大きな課題だったと言う。
いすゞ自動車の社会的な役割を幅広い人達に知ってもらうためには、「デザイン」こそ人々に伝える「インターフェイス」としての役割が必要だと考えた。この「デザイン」とは、いすゞプラザの建物としての機能まで含んだ全体のパッケージのことだ。
いすゞらしさの表現のために、いすゞのブランドデザインやプロダクトデザインのデザインアイデンティティを、建築・展示・グラフィックなどの各担当デザイナーに理解してもらうところからプロジェクトは始まった。
同じクリエーターとして提案の活性化にも繋がり、おおいに刺激を与え合った部分でもあり、とても貴重な時間だったという。
「この時間を共有しながらプラザ全体のデザインをまとめることで、建物・展示・細かいグラフィックや配色、素材に至るまで、いすゞらしさを表現することに成功していると思います。」
また、デザイナーとしての中尾さんが心がけたことは「いすゞらしくカッコいい」ということ。いすゞのプロダクトデザインのアイデンティティ、つまり「シンプル」、「クリーン」、「エモーショナル」な印象を、いすゞプラザ全体から感じてもらえるような空間にすることにより、いすゞ商用車への興味や社会との共生を理解してもらう窓口になって欲しいと中尾さんは語っている。
2017年4月に神奈川県藤沢市にオープンしたISUZUPLAZA。詳しくはこちらから。
以上写真:清水俊介さん
一番人気はこのジオラマ。いすゞ市の町中を走るいすゞのクルマたちの動きがあまりにもリアルで、子供だけでなく大人も夢中になる出来栄えだ。
写真:吉川正敏さん
中尾 博
素晴らしい写真と文章を添えていただき感謝致します。