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海外での駐在経験が写真との出会いのきっかけ。
私が写真に慣れ親しんだのは、1980年代後半から7年間ほど過ごしたキヤノンのドイツ駐在時代でした。当時、日曜・祝日はお店は閉店、土曜日も14時までしか開いていないという状況にカルチャーショックを受け、週末はちょっと郊外に足を延ばして自然や歴史、文化のある町を訪れるという習慣が身につきました。ドイツはアウトバーンを始めとする高速道路網が整備されていますので、車で1時間も走れば簡単にオランダやベルギーに行けます。片道300㎞程度なら日帰りも楽にできます。
ちょうどその頃発売されたばかりのオートフォーカス一眼レフカメラ「EOS」を、会社のカメラ部門の先輩に勧められ購入し、どこにいても絵になる光景が広がるヨーロッパの風景写真を撮るのが余暇の過ごし方の楽しみのひとつとなりました。 その後、アメリカ駐在となってからは、自分の業務としてカメラやプリンタのビジネスを体験する機会に恵まれ、ちょうどカメラのデジタル化やプリンタの技術革新が急速に進む中、様々な技術的要素と課題を学ぶことができました。
同時にメーカー内ならではの「本音」にも触れながら、スペックとは別の要素も多々あることも理解しました。日々の出張では必ず最新のコンパクトデジカメを携帯して、市場で動いている生の情報を記録し、まとめたものを本社に伝えることを習慣にしていたので、「表現したいこと」や「伝えたいこと」を画像にする感覚が培われたかも知れません。

Facebookで小川さんとの出会いが変えた。
数年前の転職を機に、新たな自分を発見する試みのひとつとして写真撮影を再開しました。ちょうど始めたばかりのFacebookで写真を投稿するスタイルにマッチし、自分らしさを表現する手段として、また共通の趣味や価値観のある友人達との交流の場として、自分で撮った写真を活用し始めました。
そんなFacebookを通じて師匠の小川義文プロと偶然知り合うことができ、ちょうど小川さんが出版された花の写真集のイベントで初めてお目にかかり、運よく「第1回花の写真FBグループ展」に参加する機会に恵まれました。

今では私にとって素晴らしい財産です。
それまで花が主役の写真というのは全く縁がなかったのですが、ワークショップでの小川さんの教えは、光の捉え方、ピントの位置や精度、絞りによるボケの調整、背景の撮り方等々、写真撮影の基本が十二分に詰まっていました。これまで未経験だったマクロレンズを入手したり、より高いピント合わせのための三脚使用など、写真撮影に必要な要素を理屈ではなく実際に体験しました。また、Facebookの非公開グループサイト内で、他のメンバーからコメントをもらうことで、さらに生きた学びに繋がります。そして何よりも、「テクニックや機材以上に美しい光を見つけることが最も重要である」という小川さんの根底にある信念に共感するところが大きいです。
個性豊かなメンバーと日々切磋琢磨しながら、しかもプロ・アマ問わずフラットな関係での交流の場は今や私にとって素晴らしい財産です。(2017年5月談)