塩川千賀子さん。子どもたちのスポーツ写真を撮る機会が多く、一眼レフカメラや望遠レンズは使いこなしていたが、改めて「光と影」という写真の基本の課題に取り組んで、写真の楽しさを知ったと言う。
カメラじゃない、光の見極め方を学びました。
写真は自分なりに何年も前から撮っていました。被写体は子どもたちの部活動やそれが高じてプロスポーツ、風景が多かったのですが、このグループに参加して「花」だけを撮り続けるという、私にとっては初めての経験をすることができました。
今まで通ったことのある写真教室とは違って、カメラの操作や設定は触れず、光の見極め方だけを指導頂きました。そこが主宰者の写真家・小川先生の「小川メソド」の面白さです。たしかに今のデジタルカメラはオートできれいに撮れます。多少の演出をするとすれば、露出補正くらいで充分。なによりも重要なことは、どんな光を探すかということを教えていただけたことが、今まで「どんな機材でどのように設定すればよいか?」を気にしていた私にとって新鮮な学びでした。カメラもコンデジで充分だという理由もそこにあることがよく分かります。
私は長年一眼レフを使い慣れていたので、新たにコンデジを使うことをしないで、操作性に馴染んだカメラを使用しています。でも、写真はカメラではない、光の見極めなんだということが、先生の出された花の写真集「MOMENT OF TRUTH」を見てもよく分かります。この写真集が私たち生徒にとっての教科書になっています。「5分で生けて、コンデジで撮る」というシンプルなコンセプトで撮られた写真を何度となく見ては、家の中の光の具合を見比べる、そんな時間を毎日の生活の中で持つことで、光の見方を身につけることができます。
テーマを決めないと撮れない自分がいる。
私の場合普段、スポーツや風景と、その場でその時間にしかチャンスがないのも撮ることが多いので、「追う」撮影が多くなります。「何を撮るのか」をある程度明確にしないと、なかなかいい写真を撮ることができませんが、被写体が明確です。場所を確保して、その日の雰囲気を確認して、その時を追いかけるーー。スポーツでも風景でも被写体の持っている力に感動しながら撮っています。
でも、動きのない花を撮るためには、何を表現したいのか、そこを明らかにしないとなかなか写真を撮るまでのゴールに近づけない。初めて参加した去年のグループ展では、まず数をこなそうと撮っていました。メンバーの方々のお写真が「作品」になるにつれ、迷い、もがき、やっと「青」をテーマにしようという答えにたどり着くことができて、青い花、花の青を何とか作品に仕上げることができました。今回で2回目の参加ですけど、実はまだテーマが見つかっていません。花の写真を通して、何かメッセージのようなものを表現したいので、その何かを今でも探しています。
「追う」撮影は好きだけれど、今年の花の撮影はもっとイメージがクリアになってから撮りたい。一方、テーマが固まらなくてなかなか作品撮りに進めず時間ばかりが過ぎて苦しい。そんな時間を少しは楽しめるようになってきたと最近は感じるようになってきたので、それも少しは成長しているのかなとも思っています。
カメラの性能や技術論ではなく、自分の言葉できちんと語ることのできる花の写真を夏までに完成させたいと思います。だって、代官山のヒルサイドテラスのギャラリーで展示できるなんて、アマチュアにとっては夢のようなことなんです。(2017年5月談)
第2回目の作品。
第3回目の作品。
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