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旧東海道。立会川の吉田屋へ。
品川の先、立会川にあるそば懐石のお店、吉田屋。
創業が安政三年というから江戸末期。
東京と川崎、横浜を結ぶ国道15号(第一京浜)より一本東の通りにあり、この一方通行の通りが旧東海道。江戸時代の東海道は主要街道の中でも一番の街道で、参勤交代で行き交う大名行列で賑わっていたとされる。現在の京浜急行の北品川駅から青物横丁駅の間あたりは、江戸から最初の宿場町、品川宿で、活気のある町だったとされる。もちろん、大名たちが立ち寄ったお茶屋や休憩所もあり、この吉田屋もきっとそんなお店の中の一軒だったのだろう。

数寄屋造りのお店の外観、店内の雰囲気は清潔で質素なお蕎麦屋さんの風情。麻布十番あたりの更科にある賑やかさのような演出はほとんどない。唯一目を引くのが、中庭の池で悠々と泳ぎ回る大きな錦鯉。この鯉の大きさを見ると、本当に歴史を感じさせてくれる。

ミラン在住のデザイナー、鈴木さんが来日するので、イタリア暮らしの彼には望郷の念をたっぷり感じていただくには、こんなお店もいいだろうと、写真家の永嶋さん、アートディレクターの笹川さんと席を囲んだ。奥座敷の部屋でミラノの生活の様子やミラノサローネのことなどを伺い、日本には帰ってこないの?などとちょっと意地悪な質問をしてみたり。ヨーロッパ市場での日本製品や韓国・中国製品の市場での評判などのお話しを聞くのは、いつもながらとても参考になる。今年こそはミラノサローネに行ってみたい。

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2013年9月
Photo and text:Hideo Miyazaki