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テーマを決め、作者の視線を滲ませる。
花の写真を撮ることで一番大切なものは何かと振り返れば、「テーマ」です。
写真を撮るために主役である花、それを引き立てる花器や添えモノ、背景や光の当て方。そして写真を撮る者としての技量。それらが全て揃っていればいい写真が撮れるかと言えば、ノーです。それだけでは綺麗な写真を撮ることができても、観ていただく方の心に届けることはできないと思います。
撮る者が何に感動したのか、何を伝えたいのか。作者の視線を作品に滲ませることが必要だからです。そのためには「テーマ」こそ始めに考えるべきことなのです。
このことを小川師匠から早い段階から叩き込まれるわけですが、3回目の参加でその重要さと難しさに悩まされています。それと同時に写真の本当の魅力が少しだけ見えてきたのかもしれません。

感動を言葉に、言葉から触発されるイメージ(画像)へ展開する。
これも初回からの小川師匠の教えです。
テーマが決まり、いざ写真を撮ろうと花を買う場面からいつもこの言葉を意識します。花を買う場面がその花に抱く感動の第一歩だからです。心を動かす花との出会いがあり、撮影時に花をあらゆる角度から見つめ、感覚を研ぎ澄ます。そんな中で抱いた感動は言葉に、そしてその言葉に触発され、イメージに変わっていきます。イメージがはっきりできた時の撮影はよい結果をもたらすことは言うまでもありません。そこに至ることはそう易しくないのが苦悩に繋がるのですが(笑)。
花の色彩はメーキャップであり、造形はヘアスタイリングに見えてきます。色彩や造形のバランスはヘアメークで培われた感覚がそのまま表現されるということに気がつくのも、ずいぶん時間を要しました。花選びはモデル選びと似ていて、完成された美しい花にはあまり魅力がなく、撮り方で色んな側面が垣間見えてきます。そんな新しい魅力を見つけることができるものに惹かれます。

写真を観てもらうことの喜びと成長。
私達はこの写真展に参加を決めた日から、Facebookの非公開投稿サイトで作品発表の機会を持ちます。納得できる作品が撮れた時はそのサイトに投稿し、ともに切磋琢磨する仲間に観てもらい様々な意見をいただきます。このことは当然恥ずかしさがあるのですが、上達とともに喜びへと繋がります。作品を観ていただくということは、自己表現に他ならないからでしょう。
基本的には作品のよいところをコメントしていただきますが、その言葉に励まされ、次はこうしてみよう、ここがまずかったからもう一度リベンジしよう、などと反省から次に繋がっていきます。
学生時代時代の部活や同好会のようで、毎夜楽しみとなり、いつの間にか同じ釜の飯を食う仲間となり、切磋琢磨の毎日から成長していきます。こんな場がこの歳になって味わえるとはまったく思っていませんでした。

代官山ヒルサイドテラス。
若い頃の憧れの街、代官山。そのお洒落の発信基地であるヒルサイドテラスにて写真展に参加できることは、光栄であると同時に身が引き締まる思いです。これまでの2回に比較しても、より一層研ぎ澄ませた感性で作品作りに臨んでいます。たくさんの人に観ていただくこと、感想をいただくことは今後に繋がります。ぜひ足をお運びいただきますことを願っております。(2017年5月談)